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経営KPIハンドブック

建設業の意思決定に使う主要 KPI を 収益性・生産性・効率性・健全性 の4軸で整理。 各指標の計算式、ベンチマーク、判断基準をまとめました。

KPI 体系 — 4つの軸

建設業の経営指標は大きく 4 つの軸に分類できます。意思決定の場面に応じて重視する軸が変わります。

① 収益性 儲ける力

粗利率・営業利益率・経常利益率。工事単位と全社単位で見る

② 生産性 効率の良さ

1人あたり付加価値・工事高人件費率。2024年問題の時流テーマ

③ 効率性 スピード

総資産回転率・完成工事高回転率。資本の使い方を測る

④ 健全性 倒れない力

自己資本比率・流動比率。経審で重視される

① 収益性 KPI

指標計算式建設業の目安読み方
粗利率(売上 − 売上原価)÷ 売上 × 100建築 10〜15% / 土木 15〜20%10%未満は要改善。20%超は優良
営業利益率営業利益 ÷ 売上 × 1003〜5% が標準、7%超で優良販管費控除後の本業の稼ぐ力
経常利益率経常利益 ÷ 売上 × 1003〜6% が標準営業外損益込みの実力
工事粗利率工事単位の粗利 ÷ 請負金額 × 10015% 以上を狙う案件単位の稼げる度合い。低い案件は受注を見直す
よくある落とし穴: 受注時の「予定粗利」と完成時の「実際粗利」の乖離が大きい会社は、予算原価の精度・原価管理の仕組みに問題があります。本ダッシュボードでは「完成時予想原価」で完成時点の見込みを常時モニタします。

② 生産性 KPI

指標計算式目安意味
1人あたり付加価値付加価値 ÷ 従業員数700〜1,200万円/年人員規模に対する稼ぐ力
労働分配率人件費 ÷ 付加価値 × 10050〜70% が健全付加価値のうち何%が人件費か。80%超は要警戒
工事高人件費率人件費 ÷ 売上高 × 10015〜25%粗利率と合わせて人件費のコストパフォーマンスを見る
2024年問題の時流テーマ: 時間外労働の上限規制(年720時間等)により、総労働時間が減る中で付加価値を維持・拡大できるか、すなわち 1時間あたり付加価値 が重要指標になっています。

③ 効率性 KPI

指標計算式意味
総資産回転率売上高 ÷ 総資産資産をどれだけ売上につなげているか。建設業は 1.0〜1.5 回/年が目安
完成工事高回転率完成工事高 ÷ 工事未収入金売上計上〜入金までのスピード。資金繰りと連動
建仮 / 総資産比率建設仮勘定 ÷ 総資産高すぎると資金固定化リスク。30%超は要警戒

④ 健全性 KPI

指標計算式目安
自己資本比率純資産 ÷ 総資産 × 10030%超が健全、50%超で優良
流動比率流動資産 ÷ 流動負債 × 100130%超が目安、200%超で余裕あり
当座比率当座資産 ÷ 流動負債 × 100100%超が望ましい(建仮を除いた短期支払能力)

経審 (経営事項審査) とKPI

公共工事の入札には経営事項審査(経審)の評点が必須。評点は以下の KPI と直結します:

  • X₁ 経営規模(完成工事高 + 技術職員数): 売上規模と技術者数
  • X₂ 経営状況: 自己資本比率・営業キャッシュフロー・利益性など8項目
  • Y 経営状況評点: 純支払利息比率、負債回転期間、総資本売上総利益率、売上高経常利益率 他
  • Z 技術力: 元請完成工事高・技術職員数
  • W その他審査項目: 社会性等(労働福祉、建設業の経理、営業年数等)
ポイント: 粗利率・営業利益率・自己資本比率といった日次 KPI は、経審評点に直結します。本ダッシュボードでこれらを常時モニタすれば、経審対策が日常業務に自然に組み込まれます。

日次管理への落とし込み

  1. 単月入力 → 累計自動算出: 月次締め後に売上・原価を入力するだけで、本ダッシュボードが累計・YTD を自動計算
  2. 案件単位の完成時予想: 月次実績から着地見込みを更新、予算超過を早期検知
  3. 異常値にアクションを紐づけ: 粗利率低下・進捗遅延・予算消化超過にアクションカードを発行
  4. 月次レビュー: 経営会議で本ダッシュボードを印刷 / PDF 出力。紙配布で全員が同じ数字を見る
  5. 四半期で経審対応: 四半期ごとに経審 KPI のトレンドを確認、改善余地を洗い出す