差異分析の基本構造
差異 = 実際原価 − 予算原価
- 差異 > 0: 不利差異(予算超過)
- 差異 < 0: 有利差異(予算内)
- ただし「有利」が必ずしも良いわけではない — 手抜き・品質低下の可能性もあり
費目別の分解
建設業の原価は 材料費・労務費・外注費・経費 の 4 費目で管理されます。それぞれさらに価格差異と数量差異に分解できます。
| 費目 | 価格差異 | 数量差異 | 主な原因 |
|---|---|---|---|
| 材料費 | (実際単価 − 標準単価) × 実際数量 | (実際数量 − 標準数量) × 標準単価 | 資材価格高騰、見積ミス、ロス率 |
| 労務費 | (実際賃率 − 標準賃率) × 実際工数 | (実際工数 − 標準工数) × 標準賃率 | 残業・応援・熟練度、作業効率 |
| 外注費 | 業者別の単価差 | 追加工事・手戻り | 業者選定、設計変更、施工ミス |
| 経費 | (実際単価 − 標準単価) × 実際数量 | 工期延長による固定費増 | 仮設費、運搬費、電力費 |
実務フロー
- 月次締後に費目別実績を集計 — 本ダッシュボードの「原価管理」ページが該当
- 予算比で差異を算出 — 「消化率」= 実行 / 予算 で 105% 超なら要注意
- 案件別にドリルダウン — どの案件が問題なのか特定
- 費目別に分解 — 材料か?労務か?外注か?
- さらに価格/数量に分解 — 単価が上がったのか、使いすぎたのか
- 原因を仮説化 — 設計変更、資材高騰、見積ミス、工事遅延 等
- アクションに紐づけ — 本ダッシュボードの「アクション管理」で発行
- 次回見積への反映 — 同じ原因を繰返さないための学習
具体例
案件 P-042: マンション外装改修
予算原価の内訳
| 材料費 | 800万 |
| 労務費 | 400万 |
| 外注費 | 1,200万 |
| 経費 | 200万 |
| 合計 | 2,600万 |
実行原価の内訳(途中)
| 材料費 | 920万 (+120) |
| 労務費 | 460万 (+60) |
| 外注費 | 1,180万 (-20) |
| 経費 | 200万 |
| 合計 | 2,760万 (+160) |
分析: 材料費 +15%、労務費 +15% の不利差異。一方で外注費は -1.7%。原因仮説 = 塗料の値上げ(資材高騰) + 雨天による工期延長 → 労務の人工増。アクション: (1) 塗料調達先を再交渉 (2) 工期遅延に備えた予備人工を見積に織込 (3) 次回見積から塗料単価 +15% を反映
PDCA への落とし込み
Plan
予算編成
過去案件の差異分析を反映、類似工事の単価テーブル更新
Do
実行
日次で原価発生を登録、案件別に紐づけ
Check
差異分析
月次で費目別・案件別に差異を可視化、原因仮説化
Action
改善
業者交渉・見積変更・設計見直し・次回プラン更新