建設仮勘定 = 未完成工事の原価預け先
完成基準で収益を計上する会社では、工事の 実行原価が完成前に発生するたび、建設仮勘定(B/S 資産の部) に積み上がります。 完成引渡時にこれを売上原価に振り替えて、対応する売上と対応させます。
貸借対照表での位置
資産の部
- 流動資産: 現預金・受取手形・未収入金
- └ 完成工事未収入金
- └ 未成工事支出金(建設仮勘定)
- 固定資産
負債の部
- 流動負債: 支払手形・未払金
- └ 工事未払金
- └ 未成工事受入金(前受金)
- 固定負債
計上 → 振替のフロー
- 工事発生時: 材料費・労務費・外注費・経費が発生 → すべて未成工事支出金に集計
- 月次棚卸: 月末時点の工事別残高を把握(ダッシュボードでの「実行原価(建仮)」)
- 完成引渡時: 当該案件の未成工事支出金全額を完成工事原価に振替
- 対応計上: 同時に請負金額を完成工事高(売上)として計上
- 差額 = 工事粗利: これが損益計算書上の利益となる
よくある管理ミス
案件別の紐づけが曖昧
リスク 高複数現場の外注費を「まとめ発注」すると、どの案件の原価か追えなくなる。結果、完成時に振替額がズレる
対処: 発注段階で必ず「案件ID + 費目」を紐づける運用ルール。ダッシュボードの案件コードに厳密に合わせる
期末の見越し計上漏れ
リスク 中月末までに請求書が届かない外注費を計上し忘れる → 建仮残高が過小
対処: 月末5営業日で発注残高を確認、未請求でも発注書ベースで見越し計上
完成済案件の振替遅延
リスク 中引渡完了しているのに振替を忘れる → 建仮に残り続ける
対処: 月次の「完成案件チェック」を定例化、ダッシュボードの status=completed と突合
原価の二重計上
リスク 高同じ外注費を案件 A と案件 B の両方に計上してしまう
対処: 発注番号と支払明細の 1対1 を徹底、取込時にバリデーション
資金繰りへの影響
建設仮勘定は実際に現金を支払った原価の累計です。引渡まで売上計上されない = 入金が発生しないため、 建仮残高の大きさはそのまま資金繰りプレッシャーになります。
⚠️ "黒字倒産" の典型パターン
- 受注が集中、建仮残高が急増
- 材料費・外注費の支払いサイトは 60〜90日で近い
- 完成引渡まで売上計上されず、入金も 120日後
- 現金不足 → 運転資金借入の余力もない
- 黒字(帳簿利益は出ている)なのに支払いが回らず倒産
本ダッシュボードの「資金繰り」ページで月末残高を常時モニタ、建仮残高と照らし合わせて余裕資金を確認してください。
早期検知の指標
| 指標 | 警戒水準 | 見るべき示唆 |
|---|---|---|
| 建仮 / 総資産 | 30% 超 | 資金固定化。借入余力の検討を |
| 建仮 / 年間完成工事高 | 30% 超 | 完成までの期間に現金が寝ている |
| 消化率(実行原価 / 予算原価) | 進捗率 + 5% 超 | 予算超過の兆候。完成時予想を即更新 |
| 案件別 建仮残高 | 月次で増加傾向 | 単一案件の過大支出 or 振替漏れ |